関西演劇振興会議について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、演劇公演は、中止あるいは制約の下での開催を余儀なくされました。
係る状況を鑑み演劇公演の感染対策を可能な限り講じつつ、演劇を通じ文化の創造と経済の発展、人と人とのコミュニケーションを推進すべく演劇人として関西に活動拠点をおく劇団と個人加盟の統括団体が連携して発足させました。
事 業
私達は個人・団体の垣根を越え関西における演劇人の交流と親睦を図り、関西の演劇文化の振興のために以下の事業を行います。
1 舞台芸術振興事業
2 関西演劇人の交流親睦事業
代 表
梅田千絵
(関西俳優協議会 会長)
尾崎麿基
(大阪劇団協議会 代表幹事)
共同代表コメント
演劇とは
“人と繋がること 心でハグすること”
(梅田千絵)
新型コロナウイルスが世界に拡がり、猛威を振るいだしてから一年以上の月日が経ちました。
私たちは政府からの「イベント開催自粛方針」を受け、他の業種より早く自主的に事業活動の中止、又は延期を行なってきました。 二度の緊急事態宣言、そして感染拡大の状況により、本番日間際で上演中止を余儀なくされる団体も沢山ありました。
ひとつの舞台を上演するまでには多くの時間、多くの人が動きます。一年前から劇場を押さえ、制作方針を決定し、スタッフとの綿密な打ち合わせ、稽古、装置制作、衣装・小道具制作、等々…中止・延期になった場合、多額な損失を抱える事になります。
舞台が無くなり、収入ゼロになってしまった俳優も少なくありません。日本は諸外国と比べ、文化支援の予算が低く不十分であり、再開の見通しが立たないまま、未だ多くの俳優が不安を抱えながら日々を送っている現実であります。
「不要不急」が切り捨てられる今の社会の中で、演劇は場違いな存在になってしまったようです。
しかし、演劇文化の火が絶えることはありません!
演劇は人に多くの影響を与えてきました。何故なら、世の中で唯一「人間を創る」職業だからです。
舞台の登場人物の生き様やセリフひとつが、時には握り飯になり、時には潤いをもたらす聖水になり、そして時には、忘れていた自分の琴線を想い出させてくれる真実の鏡となる、演劇とはそんなチカラを秘めているのです。
喜劇であれ、悲劇であれ、舞台上の人物を通じて人を応援している、それが演劇なのです。
「生」の「舞台」は演者とお客さんが同時体験をする「時の芸術」であります。
演劇の三原則、俳優、劇場、観客、 三位一体となり、演劇文化の火を燃やそうではありませんか。
演劇文化華々しい時代を創ろうではありませんか。
未来のためにー 演劇とは“人と繋がること 心でハグすること”つまり人間讃歌なのですから。
「濃厚接触」(尾崎麿基)
私達「芝居者」はこの文言に惑わされ続けている。本来、少し淫靡な、それでいて劣情を刺激する秘密めいた言葉だ。或いは、『スパイ小説によく似合う言葉でもある』と、思える。
人生の中で数度の大震災を経験した。人達はうろたえ、ひもじさに耐え、トイレを我慢し、風呂にも入れぬ日々を過ごした。学校の体育館にひしめき合い、段ボールの間仕切りに寝起きした。しかし、互いに助け合い、乗り越えた。ライフラインが復活すると、皆、「こころの飢えを満たしてくれるもの」を欲する様になった。「お腹」の次は「こころ」なのだ。「濃厚接触」の中、被災地を訪ねた歌い手のパフォーマンスに涙し、笑顔になった。
「距離的濃厚接触」はもう望めない!
ならば、私達「芝居者」は「こころの濃厚接触」を図りたい。 物質を超えた、「こころの濃厚接触者たらんことを」宣言いたします。